「バカの壁」養老孟司

いまさらだけど、「バカの壁」。
ずいぶん前に読んで、あんまり内容を覚えてないんだけど、聞き起こしの文章で、いろんなトピックについておしゃべりしている感じの本だった。
先日、芸術文化センターでもらったシネマテークのチラシに、ある書店の書評があって、面白かったので取り上げたい。
評者によると、この本は日本のディスコミュニケーションを安易に肯定していると受け止められてしまっているそうだ。
そういう読み方をする人もいるんだと思った。
たしかに、

「話せばわかる」なんて大うそ!

というこの本の帯のコピーをみれば、誰でも感じたことのある「こいつには話しても無駄だ」という感覚を思い起こさせてくれる。
で、そうだよなーと思い、日常的な苛立ちに思いをはせつつこの本を読み進める。
そうすると、自分の苛立ちを「ああ、そうか。ここにはバカの壁があったんだから、しょうがないんだ」という解釈で片付けることができるようになるのだろう。
よく考えると、これも一種のバカの壁になっている。
つまり、「バカの壁」という言葉を知って、新たな「バカの壁」がつくられてしまったのだ。
なるほどね。
話してもわからない人が、ますます増えるわけだ。
「バカの壁」