芸術文化事業

現在、そしてこれからも多くの自治体が財政難に陥るだろう。
その時、いちばんに予算カットの憂き目に遭うのは芸術文化事業に違いない。

さいきん話題になっている芦屋市の美術博物館の売却・休館問題も、そのひとつだ。

そもそも行政が金を使うには、それなりの根拠が必要となる。
いちばん説得力のある根拠は、市民がそれを必要としているからという理由だろう。

行政が、学校や病院を閉鎖しようとしたら、多くの市民は反発するだろう。
なぜなら、彼らは学校や病院−−つまり教育や医療は、市民生活に欠かせないものであるという認識を共有しているからだ。

もっとも芦屋市のケースでは、財政難が深刻で、美術博物館だけでなく病院の閉鎖までもが検討されているという。
反発が大きいのは、言うまでもなく病院のほうだろう。
市民のニーズに大きな開きがあるからだ。

もし水道がなくなったら……生きていけないよー!
もし病院がなくなったら……困るし、生きていけない人だっているよ。
図書館がなくなったら……ちょっと困るかな。あると便利だし。
じゃあ博物館がなくなったら……別に困らないなあ。なくても平気かも。

これが大部分の市民の実感ではなかろうか。
彼らにとって、博物館・美術館は、日常生活との繋がりが弱く、必要性が感じられない。
こうなった原因の一端は、その施設にもあるだろう。
施設が、本当に市民に開かれた活動をしていただろうか。
市民に支持される実績がなければ、それは税金で賄うべきものではないと考えられてしまう。